あなたが私に向ける
輝くような満面の笑みも
あなたが時折見せる
憂いを含んだ伏せた眼差しも
あなたがふとした拍子に漏らす
含みのあるチェシャ猫のような
意地の悪い表情も
また何もなかったかのように
私に清純なる笑顔を向ける様も
私の心を掴んで離さないのは
あなたがそのこころの裏側を
決して見せようとしないから
誰も見ていない森の夜を選び
夜空に弓をつがえ
東の方向に眠る 太陽を喚ぶ
放物線を描く矢を放てば
それがあなたの別れの合図
私の心をつかんだままで
月に願いをするならば
あなたのその暗い暗い
こころの裏側を見せてほしい。
未だかつて誰にも見せたことのない
真っ暗な凍えきった闇に蹲る
あなたをどうか このわたしに
どうか わたしだけに
抱きしめさせてはもらえまいか
「月に願いを」
5/26/2023, 10:59:23 AM