路地

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私の将来の夢は、化石になることです。
こんなことを書くと、びっくりする人も多いと思います。でも、化石になれたら素敵だなと思います。
今年はじめて、社会で歴史の授業がありました。
数千万年前の人の骨や生活のあとが残っているのは、すごいことだと思います。そうやって暮らしていた人たちのことを、現代の私たちが知れるというのも、やっぱりすごいと思います。
でも、骨も食べたものもきれいに処理される現代の暮らしを、未来の人が想像するというのは難しいんじゃないかと思いました。
そこで、私がひと肌脱いで、食べたものもわかるように、着ていた服もわかるように、きれいに化石になれば、きっと未来の人の研究も進むと思います。
病気とか、胃の中のものが見られるのは恥ずかしいけど、おもしろいような気がします。
もちろん、今すぐは死にません。
将来、時が来たら、きっときれいな化石になってみせます。

小学校卒業のときの文集を見直していたら、当時僕の好きだった子はそんなことを書いていた。
風の噂によると、彼女は今、地方の大学で地学を教えているらしい。
変わった子だったな。
きっと今も、瞳を輝かせて、自分の死に姿を夢見ているんだろうな。
そして1000年先も、その好奇心旺盛な魂を、彼女の体は待ち続けているんだろうな。

2021/02/03『1000年先も』

2/3/2023, 3:31:07 PM