鉄床雲

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「…あれ?」

思い出せない、目的が確かにあったのだ。

何か作ろうと思って、それで何かが必要で、
一番安く手に入るのはこの店だな
と思った事だけは覚えているのだ。
記憶を辿ってもスマホのメモにも書いてなかった。

無意味に彷徨い、目的とは違う商品ばかりが
カゴに増える。

首を傾げながらレジで会計を済ませる。

ありゃとうござぁした~という投げやりな店員の
挨拶を背に店から出た。

「結局、私は何を買いに来たんだ…?」


100円均一の店は記憶を無くす魔力があるにちがいない。

6/10/2024, 12:33:14 PM