海月 時

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『ようこそ、生人図書館へ。』
「…こんばんわ。」
『おや、本日の来館者は随分大人しいねぇ。』
「…人と、話すの、苦手で。」
『俺の事を人間として見てんのかい?そりゃあ、お涙溢れる話だ。』
「人じゃないんですか?」
『元ってとこだな。人間じゃないってのは、気楽だぜ?何にでもなれるし、何にもならなくて良い。』
「…良い事、なんですかね?」
『それは、お前さん次第だ。』
「…。」
『なぁ、黙ってたって何にも変わりゃしない。悩みがあるんだろ?言えよ。』
「…僕、昔からなりたいものが無いんです。夢とか、よく分からないし。僕はきっと、どこかおかしいんですよ。」
『分かんねぇな。お前さんのどこに欠陥があるって言うんだ?只の普通のガキだろ。』
「だって、周りの皆は夢を語ってるのに、僕だけは何も語る事が出来ないんですよ?」
『なら、語れるものを作れ。』
「作れないから、悩みなんですよ。」
『それなら、最終奥義だ。』
「なんですか?」
『他人の夢をぶち壊せ。それをお前の夢にしろ。』
「…そんな夢でも良いんですか?誰かの不幸を願っても、良いんですか?」
『夢の良い所は、語るのはタダって事だからな。』
「…最高の夢、ですね。」
『だろ。』
「僕の夢、叶いますかね?」
『さぁな。だが、未来は変えられる。不都合な事は忘れて、未来を塗り替えていけ。』
「…はい!」

『夢が無いなら、人生を描け。その描いた先に、夢はある。だから、夢を描け。』

5/9/2025, 1:23:45 PM