徐々に動きが鈍くなっていくのが分かった。
傍にいた弟に手を伸ばすが、弟はジッと俺を見るだけだ。止まらずにゆっくり離れていく。
「もう、ダメかもしれない……」
薄々気付いてはいた。
もう5年になる。限界がきているのはとうに分かっていたのだ。それはきっと弟も。
何度も頭を打ち付けたり、叫んだりしたから、寿命なのだろう。
「せめて、最後の叫びを……」
離れていった弟が戻ってくる。
「兄さん」
「最後の仕事だ」
「うん」
カチリ。時間だ。
ジリリリリリリリリリリ!!
「んー……あと、5分だけ……」
バン!
俺たちの必死の叫びは、強制的に止められた。
「……おつかれ、兄さん」
「ああ。お前もよくやった。さあ、休もうか」
俺たちは、主が設定した時間を示したまま止まった。
また命を吹き込まれるまで、しばしのお別れだ。おやすみ、主。
2/6/2024, 12:40:32 PM