「・・・美しい。」視線が吸い込まれるほどの闇の中、確かに彼女はそう呟いた。・・・何を見ている?・・・何が見えている?俺は目を凝らすが、どこまでも続く漆黒の世界。何も見えないはずだ。彼女は何も見えないはずだ。いま、彼女から色のある世界を奪ったのは俺なのだから。その刹那、喉元に切り裂いた激痛がはしり、彼女の声が耳元から聞こえた。「いってらっしゃい・・・黒すらない美しい世界へ」#2 『この世界は』
1/16/2023, 10:18:43 AM