環境を変えること。
それは効果的なリフレッシュ方法の一つだ。
鬱々とした気分を、刺激のない単調な日常を、見慣れきった世界を変える。ドライブにしろ旅行にしろ、終わったあとは頭がすっきりクリアになっているだろう。気分の換気といっても良いかもしれない。
けれど、どうしようもなく私はインドアな人間なので、そういうときはとりあえず書店や図書館に行くことにしている。
ここではないどこかに行くこと。
つまり、現状から意識を反らすこと。新しい風を吹き込めればいいのだから、何もわざわざ本当の未体験に飛び込むこともないかな、と思うのだ。
読書は、物語は、常に私を未体験の世界に連れていってくれる。
石畳と緑の融和した魔法と剣の世界、荒廃した未来世界、薄暗がりに恐怖が潜む世界、甘くときめく青春の時間、呼吸すら忘れるような怪奇事件。
表紙は世界の扉だ。
戸を叩いて飛び込めば、私は現実なんてすっかり頭から追い出して、滑らかに綴られた世界に魅力されている。
そうして、本を閉じて現実世界に戻るとき。
私はふぅっ、と大きいため息と一緒に身体と心に溜め込んだストレスを吐き出せるのだ。
さて、次は何を読もうかな。
『ここではないどこか』
6/28/2024, 7:18:08 AM