10年後の私から届いた手紙
「ねぇ、10年後からの手紙、来た?」
「は?なにそれ。」
大学のサークルで出会った俺の彼女、美月。コイツは噂が好きで、よく変な話を持ってくる。
「10年後の自分から、手紙が届いてる人がいるんだって!」
「またその手の噂かよ。」
「ホントだってばぁ。だってほら……。」
彼女は後ろに組んでいた手を見せた。その上には、手紙。
「ねっ?ふっふっふっ。中身も見ていーよ。」
やけに嬉しそうにニヤニヤ笑っている。
「なんだよ、気持ちわりぃ……。」
恐る恐る手紙を読み始める。
『10年前の美月へ♡』
「頭の悪そうなハート……。確かにお前っぽいな。」
「うるさいっ!余計なことはいいから早く読んでよ!」
『自慢の彼氏と楽しく過ごしてる?
これからも幸せだから安心してね♡
できれば今のうちから貯金は
して欲しいな!!
ぬけてるところもあるからそこが
気がかりだなぁ。まあ、結局人生
を楽しく過ごせてるから、
つらくても大丈夫っしょ!
結婚とかも心配しないでね♡
てゆーことで、このくらいかな!』
「なるほどな。ふっ。あっさい内容だな。」
「なによぉ。それより、結婚だって……!」
「あ〜ね。」
「何その反応!もう!」
彼女は頬を膨らませて走り去ってしまった。
その後、その手紙は多くの人のもとに届いた。筆跡などからも本人らしいものばかりだった。TVやネットニュースになったりもした。しかし、俺のもとに届くことはなかった。
2/15/2024, 2:53:16 PM