ヤッチ

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何気ない時に側に居てくれる存在頼もしいですよね…私にも近くにその様な友人が居ます
今回は寄り添う側のお婆ちゃんと
寄り添われる側の老猫の物語…

ニャ~オ ニャ~オ「おや、またかいあんたも暇だね」雲一つ無い快晴のある日私がね散歩をしていたらカラスに突かれている猫を見つけたんだよ…まだ若かったね幼いとも言えない…
老いてるとも言えない猫が傷だらけで倒れていたんだよ…私はそれを見つけるや否や
すぐに家に持ち帰ったよね…その時は
何か御恩があるかな?なんて思いながら心を
躍動させていたよまぁ元気になって病院にも連れて行ったよでもこの子には逞しく育って欲しいと思って野良に帰したんだよ
最初はね中々離れてくれなくてねでもある日
餌を持って来たんだよそれもこれ程に大きいのをそれから時々私が居る茶の間に顔を出すようになってさ雨の日は体を拭いたりして
それで今に至るんだよ

ある日から顔を出さなくなってね寂しかったよあの時は居ると喧しいけど居ないと妙に
静かで私は静かなのが嫌だからねテレビを点けていたんだよ、そしたら速報で学校に爆破予告が届いたんだそう爆心地は校庭らしくてねかなり近かったのよだからねあの子は大丈夫かな?なんて思いながら見てたんだけど
その次の週で顔を出して来てね
子供3人と嫁さんも連れてるのよいっちょ前になっちゃってさその時思わず泣いちゃって
前まであんなに青臭かったのに成長が速いね
頑張ってほしいよ

青い草木が枯れ始めた日にまた顔を出してね
その時は顔がぐちゃぐちゃで涙ぐんでたよ
どうやら嫁さんと離れたんだってさ
子供もあっちに持って行かれたんだって
独り身は寂しいからねその日は1日中話を
聞いたよ酷く悲しい出来事だったけどまぁ
成長の糧となるなら良いんじゃないかな?

赤い草木が落ちて雪が積もりだした日に
私認知症になっちゃってさ重度で来年まで
記憶が残るか分からないんだってさ
それを聞きつけたかの様にまた顔を出しにきてさ今日はどんな出来事があったんだい?
そう聞くとねあの子泣きながら語ってくれたのよ 「婆ちゃん今日はさ久々に子供達に会ってきたよ…婆ちゃんが知らないうちに俺成長してるよ!」そう言ってくれてありがたかったねその日はあの子に確か「大晦日はここで過ごしな」なんてこと言ったかな

雪がすっかり溶けて桃色の花が咲いている
時期に顔を出しにいったよね…
婆ちゃんは僕の事すっかり忘れちゃってさ
僕を家から追い出そうとするんだもん
今は桜が咲く時期なのに婆ちゃんの記憶は
紅葉みたいに散って行ってるよね
僕寂しいよ大晦日はあんなに覚えててくれたのに今じゃ僕の顔すら覚えて無いんだから
毎回追い出そうとするもんだから毎度毎度
自己紹介をして新しい関係を作ってたっけな
婆ちゃんは何か猫?の事を喋ってくれて
多分僕のことなんだろうけど物事しか覚えて無くてでも僕が泣いていたら近くに居てくれるのは変わらなかった夏にまた来るね…

婆ちゃん!!婆ちゃん!! 「おや、またかいあんた暇だね〜」雲一つ無い晴天の日に僕と…
婆ちゃんは出会った僕は当時10くらいで家が燃えて弟も親も死んだ家なき子だったでもさ
助けてくれたよねあの落ち着いた顔は今でも忘れられないや今日は婆ちゃんの告別式だよ
参列者は僕と元嫁たちしかいないけど
もの凄く晴れているから良く街の風景が見えると思うよ高速道路は渋滞中かな?
バイオリンの音も聞こえるかも近くで弾いてるから僕は成長しているよ
婆ちゃんは世界一寄り添い方を知っていて
囲碁が上手くて大好きだっただからこそ
この御恩は墓まで持っていくよ婆ちゃん…








3/30/2024, 11:43:29 AM