下屋

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「夏草」

かき分けどもかき分けども青さはやまない
この先で眠る人へ会う為に
一心不乱に進んでゆく

「本当にここなのかしら」
そんな疑問は無視してやろう
私は合っている 絶対に 多分

もう少し、もう少しだけ進んだら
一旦休憩しようかな
そして記憶の糸を手繰り寄せ……
ああ! やはり不安なのだ

誰にも聞けやしないのに
私だけが頼りなのに
どうして人は忘れてしまうのか
今はまだ記憶にある感触も
いずれは失うのだろう

大きな空洞
不意にぽっかりと心に開く

やけに太陽が眩しくて
何も見えないまま私は進む
そのうち風が変わってくれば
あなたにもうすぐ会えるでしょう

8/28/2025, 10:09:23 AM