No.47:花の香りと共に
#人外Tさんと
店先に必ずと言っていい程置いてある、1つの花。
それを見ると思い出してしまうのは、彼の泣き笑った顔
多分、その時は僕も似たり寄ったりな顔をしていたのだと思う。
僕にとって、その花を通して結びつく光景は、最高点みたいな、夢みたいな瞬間だったから。
「あ!○○くーん!お待たせ〜!」
けれど、それが夢じゃなかったと教えてくれるのが、今僕に全力で手を振ってくれている彼だ。
「ふふ、待ってないから大丈夫だよ」
「本当に?」
「本当本当」
「それなら良いんだけど...」
「ほーら、それより早く行こ♪
今日は行きつけのお店、教えてくれるんでしょ?」
「!うん!」
「ふふ、楽しみだなぁ」
そう言いながら、僕と彼は歩きだす。
...そして、数本の赤い薔薇が、そんな二人の背中をそっと見守っていた
3/16/2025, 1:05:10 PM