ホシツキ@フィクション

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俺にとっての幸せってなんなのか。

話す内容は愚痴ばかりの同僚飲みの帰り道、ふと考える。


ぱっと思いついたのは――お金持ち。
俺の実家は大家族で貧乏だった。自分の部屋など無く、
思春期には無計画に産んだ両親を心底恨んだこともある。

『ウチが金持ちだったら』と何度思ったか―――。

『そういえば』
はたと気づき立ち止まる。

恨みはすれど『不幸だ』『何で俺ばっかり』と悲観したことは1度もない…。


何だかんだ、楽しかったのだ。
取っ組み合いの大喧嘩も、末っ子の沐浴や夜泣き対応、妹や弟の勉強を見ることも、一緒にお風呂に入ることも、おかずの取り合いも――。
家のどこにいても、誰かの声が常に聞こえていた。

そしてその真ん中にいつも両親がいた。
大雑把で豪快な父親。いつも真正面から見てくれる肝っ玉の母親。



――ほわん、と心が温かくなって、ぷかぷかと浮かんでいく感覚が私を包み込む。



家族は見えるもの、過ごした日々も見てきたもの。

《幸せ》とは目ではっきりと見える大切な存在。
それを思う気持ちの名称、ということか!?

――という当たり前のことにたどり着くまで、酔った頭では相当な時間がかかったが、たどり着いた瞬間は天啓を得たような衝撃で思わず
「うおおおおぉ!」
と叫んだ。

そして俺はさらに気づいた。
『つまりこの世は幸せだらけでは!?』と。

あったかい布団!気持ちいい!幸せ!
こってりラーメン!美味しい!幸せ!
猫!可愛い!幸せ!


こうして俺は酔っ払いながら、幸せを思い出したり道端で発見したりと、1人はしゃぎながら家路に着いた。


【幸せとは 〜完〜】



あけましておめでとうございますm(_ _)m
♡︎ありがとうございます!

1/4/2023, 3:31:04 PM