傾月

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週明け。
やっぱり秋とは名ばかりの茹だるような暑さの中、休み時間を使って、こないだ閃いたことが本当に正しいかどうか、"声"が聞こえた5人に、あることを確認して回った。そして全員が質問に対して"Yes"と答えたことを受けて、仲間を集め、名探偵よろしく「答えが解った」と言い放った。
驚く仲間たちの顔を眺めながら、今回の出来事が "銀歯" のせいだということ告げた。全員がザワつく中、どうも条件が合うと銀歯がアンテナの役目をはたしてラジオなどを拾ってしまう場合があるらしいこと、裏山の公園は近くに電波塔が建っていて条件が合いやすかった可能性があることを述べた。
仲間の1人が、自分にも銀歯があるのに聞こえなかった、と言うので、あくまで "条件が合えば" だと念押しをした。「ま、俺もテレビの受け売りだけどな」と言い、今回の "声"騒動は終結した。

でも実は、仲間に言ってないことがある。
あの日、みんなでジャングルジムに登ってあーでもないこーでもないと話し合ったあの日。通り雨が降る中、昼からまた1人であの公園へ行ってジャングルジムに登り、件の "声" を聞いてしまったのだ。
何の声か解んないし、何を言っているのかも解んない。でも、その声は確実にこっちに話しかけてくる。

ただ、俺に銀歯は、無い。


―――宇宙(そら)からの便り[急]


                #74【秋🍁】【通り雨】

9/28/2023, 9:36:40 AM