贈り物の中身は、長命の不死薬か、一気に歳を取らせる煙か…。
浦島太郎の結末のパターンを思い浮かべながら、箱に手をかける。
差出人不明の謎の贈り物。
「助けてもらったお礼に」
届け先は確かに、私になっている。
小包サイズのダンボールは、きっちりガムテープで固定されている。
全く覚えがない。
私は誰か助けただろうか。
過去の私が助けていたとして、このご時世に、助けた-助けられたというその場だけの関係性の相手に、名前や住所なんていう個人情報を喋るなんて、そんなことあるだろうか。
よしんば助けていたとして、それがお節介で逆恨みとかされていないだろうか。
なにせ人の感情のこもった情の強い行動は、それが善意であれ悪意であれ恐ろしい。
そんな教訓はインターネットや世界中の歴史の中の至る所に散らばっている。
小包は思ったより軽い。
しかし、開けるのには勇気がいる。
ダンボールの蓋も、いつもよりずっと重たい気さえする。
いったいこの正体不明の贈り物の中身はなんなのか。
私はハッとして手を離し、小包の前で立ち尽くす。
「助けてもらったお礼に」
送り主のメッセージが、不気味だ。
12/2/2025, 10:17:40 PM