「いつか行ってみたいね」と言っていたお高いレストランが崩壊していた。ここで最後の夕食をとることを提案したら彼女は同意してくれた。レストランの残骸に並んで腰掛け、夕日を眺めながら粉々に砕けたビスケットを少しずつ食べた。海が近いのだろうか。潮の匂いがする。朝がもう二度と訪れないことは確定している。この夕日が沈んだら何も見えない夜だけが残る。「おいしいね」と言って彼女が微笑んだ。僕は何も言わずに、同じように微笑んだ。(世界の終わりに君と)
6/7/2023, 3:53:12 PM