馬公夂太

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『やぁ、最近どう?』
先輩がフワッと唐突に話しかけくる。
特に興味もないだろうに、何となく話しかけてきたぐらいだろうか。

『まぁ、、変わりないっすねぇ』
話の始まりがあんまりなもんで、自分も、パッとしない答えになってしまう。

『そっかぁ、まぁ毎日何かあっても大変だもんなぁ』
先輩はタバコを吸いながら天井を見上げて言う。

僕たちは会社の喫煙所でいつも顔を合わせるぐらいの仲だ。
会社は一緒でも仕事上あまり関わりを持たない他部署の
先輩、後輩みたいな関係だ。
ただ、喫煙所で顔を合わせると特に用事がなくても話す。

『そーいやこの前、タバコやめるって言ってなかった??
 やめないの??』
また、急に話題を振ってくる。

『確かに言いましたけど、無理でしたよ? 二日間はやめられたんですけどねぇ、、仕事の休憩の時、タバコを吸わなかったから何をしていいのかわかんなくなっちゃって』
 半分は本当だ。
 もう半分は・・・

『わかるぅ〜、タバコ吸わないんだったら休憩いらないから 
 早く帰りたいよねぇ〜』
先輩はまだ天井を見てる。

もう半分は先輩と話してる、この何とも言えない・・・
とりとめもない話がなんとなく落ち着くんだろう。
特に意味はないけど何となくこの時間が好きなんだろう。
会社の喫煙所っていろんな仕事の情報が転がってるけど、 先輩の話にはなんの情報もない。
だからこそ、自分には心地よいのかもしれない。

タバコ、やめられないなぁ

12/17/2024, 1:12:57 PM