大好きな君が、なんだか元気がないような気がした。
ただいま、と帰ってくるなりソファに突っ伏し動かない君に、おかえりなさい、とフサフサの身体を擦り寄せる。
たいていのばあい、これでご機嫌になる君が今日は無反応。
滅多にしない頭突きも披露するが、これまた無視。さすがにしんぱいだ。
ゴロゴロと喉をならして、背中にゆっくりと乗っかって、ふみふみとマッサージをする。
そして、どうしたのと鳴けば、ようやく君は少しだけ笑ってくれた。よかった。
背中から退くと、上体を起こした君が優しい手つきで下顎をワシャワシャと掻いてくれる。
お返しに手の甲をなめる、ちょっとへんな味がするけど。
そのまま、ソファでコロンコロンと寝返りを打ちながら、両前足の指を広げ、しかし爪は出さないように肉球を見せつける。
この状態で指先だけをクイッとする、君が一番よろこぶ仕草。
これをすると顔面がだいぶ、おかしなことになっているけど、たぶん君は気づいてないだろう。
ネコってタイヘンなのさ。
テーマ「何気ないふり」
3/31/2023, 4:51:03 AM