NISHIMOTO

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星が一筋残して落ちゆく。
最初に見たそれを皮切りに次から次へと落ちゆく。
「本当に、呑気ね」
五つ数えたところで際限がないと諦めて、首をほぐしつつ声を発した先──対峙した恋人を見やった。
行方も知らぬ星々など微塵も気にせずに彼女は立っている。あの日恋を実らせたようにこのステージに沸き立つ二人であれたらよかったのに、我々はこうして剣を取り、向かい合っている。
あの逢瀬から時を経て、数年前からは肩を並べることもなくなった。好きと言葉にすることも愛を確かめることもやめた。
それでもただ頭上の星のように燃え尽きて、我々はたった二人で宇宙の闇に消えていけたら、ってこの期に及んで往生際が悪いかな。
けれど私はずっと、出会ってからずっと、それがいいって思い続けていたんだ。
あのとき君は最後まで流れ星を数えていたから言えなかったけれど。

4/5/2023, 12:35:51 PM