♯13 初夏までは面白味もない喜劇のままで
まだ蝉がうるさい夏の終わり。
このアパートの一室で私は1人だった。
こんな悲劇がやさしさなんて私は絶対に信じない
あいつは私の幸せを願ってた。
あんなに適当な態度だったのに?
2人で馬鹿にした愛って結局ここにあったの?
そういえば話を聞いてないようで
よく見てくれてたよね、めんどくさいみたいな顔してさ、
アルコールしか信じてませんって嘘じゃんか
あいつは私の幸せを願ってた?そんなの不可能だよ
あんたの幸せをこっちは願ってんだから
私を幸せにしたあんたがいくら自己満足で幸せでも
そんな幸せを私は認めない。
あ、そういえば自己満で人を幸せにできるような奴でもなかったな、じゃあこれはいっそ愛なの?
それでも、やさしさなんて愛の証明の片隅にも置けない。
だから自己満足ってことにしてよ。
そしたらあいつの本当の幸せを今度は願えるからさ
そのためなら私は不幸にだってなるよ、
だからこんなのが本当のやさしさだなんて信じない。
信じたくなかったんだよ。
8/10/2025, 3:03:13 PM