いぐあな

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300字小説

お守り

 そうそう今から一年くらい前かな? コンパで盛り上がって、そのまま、有名な怪異スポットに肝試しに行ったんだ。ほら、昔の集落跡で髪の長い死装束の女の幽霊が出るってトコ。まあ、なーんにも出なかったわけだが、でも、一緒に行った霊感がある奴の話によると、確かに女の幽霊は居て、ふざける俺達の周りで何かブツブツ言っていて、そのままついて来ているんだと。だから、これを持っとけって渡されたのが、このお守り。しかし、ずっと本当に何も無いし、奴とはゼミが別れて会うこともなくなったし、もう一年経ったから良いかなって。お前にこれやるよ。

 そう言って彼が渡してきた擦り切れてボロボロになったお守り。その後の彼の行方は解らない。

お題「一年後」

5/8/2024, 12:07:49 PM