椋 muku

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「今日は帰るね」

「えっ!?帰るの…?」

「…帰っちゃダメなの?」

「…」

「だって私がいても絶対勉強しないじゃん!」

「いやー?するつもりだったのに」

「嘘つき笑」

君とまた同じ会話の繰り返し。私だって本当は君と一緒にいたいけど受験生だから私も1人で勉強したいの。6校時目の自習時間。他愛のない会話。

「できた!」

君が描いていた絵が出来上がったらしい。面接の原稿も考えずに本当に呑気な人。
君が今にも寝そうな私の腕を掴む。

「寝たらだめだよ」

そう言って手を握ってくる。いつもは冷たいはずの君の手がすごく温かくて落ち着いた。私は今日もまた君のことが好きだって実感する。抑えなきゃいけないはずなのに気づいたら好きだって叫んじゃいそうなくらい、惚れちゃったんだよ。

今日は一緒に帰れなかったけど、テストが終わったらまた一緒に帰ろうね。その時は手を繋いで…なんてわがままかな?

題材「手を繋いで」

12/9/2024, 11:24:28 AM