お前の言うことは間違っている、意味なんて微塵も無いと、クラスメイトたち全員の前で否定された。
わたしはわたしの好きなものを、好きだと言っただけなのに。
わたしが弱気で言い返せないとわかっているから、あの子は居丈高に振る舞う。自分の矮小さを誤魔化して、自分が正しいと知らしめるための標的にする。
屋上に続く階段に座り込んで、声を殺して泣いた。
外からは雨の音が聞こえる。
余計に沈んでゆきそうなところに、差し出されるハンカチが。
「悔しいよね」
あの子のもう一人の標的の子が、眉を垂れて苦笑している。
「なんで君は平気なの」
あの子に何を言われても、苦笑するばかりで言い返さない彼女の強さが欲しい。ハンカチを受け取り、顔を拭きながら問いかけると。
「平気なんかじゃないよ。私も独りで泣いたりするよ」
でも、と彼女はわたしの手を引いて、屋上への扉を開く。
「空も泣いた後は、綺麗に笑うだろう?」
いつの間にか雨はやんで、七色の虹が弧を描いている。
泣いたっていいんだよ、僕は君たちを見守っているから。
そう、告げるかのように。
お題:君と見た虹
2/22/2025, 11:32:54 AM