のねむ

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好きな人を目の前にすると胸の鼓動が早くなる。

其れを、私は体験したことがない。
いや。其れは嘘だけれど、だけれど百全て嘘という訳では無い。

私は人を好きになれないし、好きになられない。
昔はそうでは無かったと思う。人並みに恋をした、というか人よりも沢山多く恋をしていた。目を合わせて笑顔で挨拶をされるだけで、簡単に恋に落ちるような人間だった。単純な女だった。
今では其れは、人間としての好きだと理解はできるのだけれど、昔の私は其れが分からなかったようで、私はこの人の事が好きなんだ、と心の底から思っていたように思える。

それが変わったのは、同級生たちが大学生になった頃だっただろうか。いや、高三辺りだっただろうか。でも多分その辺り。
いきなり好きが分からなくなった。
好きだと思ってた相手からも、好意の片鱗を向けられると吐き気と嫌悪感がした。(世間では蛙化現象というのらしい。)
前までは輝いていた、人様の笑顔もただ人間性が素晴らしいなと思うくらいまでには落ち着いて、そこはまあ、良かった部分だとは思うけれど。
でも、やっぱり人に対して恋愛的な好きを抱くことが、出来なくなっていた。
私に対して、返す好きがある人に。


私の好きは、多分結構面倒くさい。
簡単に好きになるような単純な女だと思うから。今でも、私に返す好きがない人を極稀に好きになる時がある。大体、同性だったり、婚約者がいたりそういう人だったりする。
勿論、眺めるだけで数日経つと忘れていたりする。そんな、簡単な好きを私は沢山持っていた。
人を本気で好きになったことがない、というのが私にピッタリな言葉なんだと思う。本気で好きになったって、得られるものは吐き気と嫌悪。ならば、本気で好きにならない方がお互いにとって幸せだと、気付いただけなのだ。
私は可哀想な女なんかじゃない。


胸の鼓動は多分一生早くはならないけれど、常に一定のリズムで歩いてる。それが、なんだか私らしい。







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私の話です。休憩時間に書いてるので、変な部分もあるかもですが。
恋をするのは苦しいです。どうしても、好きになれないと理解して、受け入れているから。
でも恋をします。それが、他の人とは違う形でも。生きているからには。

まあでも最近は、人間に恋するのも出来ないですが…。
無機物や、過去の歴史人物、そんなものばかり好きになります。直近で言うと、歩行者用の信号機の中にいる赤い人です。心惹かれますね、赤いものは。

9/9/2023, 5:38:25 AM