0302

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終わりのない旅だった気がする。
あてのない彷徨だった気がする。
ただ、遠くへ。
どこか遠くへ行きたいと、そう願っていたような。
──とうに働きを失った心の片隅で、そんなことを、思っていたような。
ぼんやりとした思考で足を進める。意思も目的もなにも持たないまま、ただ世界の果てに向けて歩む。
身につけた鎧と剣が重い。■■の証は擦り切れはてて、微かに名残が見えるだけ。だってここにいるのは■■の絞りカスだ。なにもなし得なかった残骸だ。
使命、とか。
平和、とか。
■■、とか。
なんだっけ。なにか大切なものがあったはずなのに。
ぜんぶ、ぜんぶ、わすれてしまって。
──ああ。
はやく、おわってしまいたい、と。
そんなことだけを祈って、棒きれのような足を進める。

8/11/2023, 12:35:21 AM