懐かしく思うこと
実家を離れて都会で1人暮らしを始めて1年とちょっとが経つ。自炊も減り、1人で外食に行くことに恥ずかしさも抵抗もなくなっていた。
前は1人でレストランやカフェに入るとソワソワしてしまい、慌てて注文し、慌てて食事をするそんな外食だった。もちろん味わうなんてできるはずもなく、かえってストレスを感じる程だったが、最近は1人でもゆっくり味わって食事ができるようになった。私も他の客も自分たち以外には興味がないことに気づいてしまったからだ。
美味しく食事ができればなんでもいい。そんな感じだ
アパートに帰ってもあとは寝るだけで済むし今では外食の方が断然に楽だ。
そんな私のアパートに半年に1回くらいのペースで、実家から段ボール箱が届く。
送ってくるのは母だ。1人暮らしの娘を心配して送ってくるのだが、箱の中身は米、味噌、醤油、砂糖、塩、ティシュペーパーにキャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、洗濯洗剤、などなど日用品ばかりだ。自炊を辞めた私にとってはちょっとだけ、本当にちょっとだけ置く場所なくて邪魔だと思うことがある。
ピンポ〜ン。
玄関のインターホンが鳴り、母の段ボール箱を抱えた配達員が立っていた。段ボール箱を受け取り、箱を開けるとやはり日用品。
はぁ~。
ため息がでる。
ん?
段ボール箱の奥にいつもは見ない紙袋と母の手紙が入れてあった。手紙をを開けると母の丸みをおびた文字が目に飛び込んてきた。
元気にしていますか。
こちらは、みんな元気です。ところで、納屋の掃除をしていたら昔に使っていたミシンが出てきたのでお弁当風呂敷を作ってみたした。お昼ご飯の時にでも使ってちようだい。体に気をつけて。
母より
お弁当風呂敷って。自炊もしないのに何を言っいるのか。弁当風呂敷を広げてみると正方形の布の端がほつれないように真っ直ぐ綺麗に縫われていた。確かに母は昔、ミシンでいろいろなものを使っていた。スカートや巾着、通学用のバック、運動靴入れ
何でも作れてすごい母だと自慢していた。
その母がただ布の端を縫っただけの風呂敷を送って来たのだ。
母の弁当風呂敷を見ていると小さい頃のことが懐かしく思い出され、知らず知らずのうちに涙が溢れてきた。
明日、家にかえろう。
母のご飯が久しぶりに食べたい。
10/30/2024, 11:01:01 AM