ティーカップから湯気がもくもく。鼻を近づけて息を大きく吸い込んだ。鼻を通っていく甘い香り。思い出のリンゴの香り。
「いただきます。」
口をつける。熱すぎて飲めない。
氷を一粒入れた。口をつける。苦くて飲めない。
砂糖をたくさん入れた。口をつける。わあ、美味しい。
「いつもこの状態で出してくれてたのか……。」
広くなった部屋の中、独り言ちる。
天井に登っていく薄らとした白さ。ぼーっと見つめる。
だんだん、心も体もぽかぽかしてきた。そしたら、なんだか泣けてきた。
10/27/2024, 7:09:45 PM