なにも理解できずひたすらに気持ち悪いようで、本能がそれを美しいとだけ遺して理解を拒むまでに歪んだ黄金比を持つ作品を、私は描こうとしてきた。しかし、いくら娘の彫像に名前をつけても、壁に爪を立てて愛し合っても、何も書けなかった。私が遺した作品とは、理想にしてはいかにも無に等しいのだ。私が求めた理想は、私が書いているうちには叶いもしないのだろう。憧れは理解から最も遠いと、誰かが遺した。良い言葉だ。真実だ。憧れるからこそ、求めるからこそ、「美しい」と、理解を拒むのだ。
6/10/2025, 3:26:22 PM