書く—書いた記録

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「ところで」
「ところで?」

「におい系の表現は恣意的なんで好みではないんだよね」
「恣意的?」

「『におい』を『匂い』や『香り』にすると良いもの、『臭い』にすると悪いイメージがついてしまった。本来はにおいだったものに漢字を当てはめていったというのはあるね」
「ふーん」

「だからこのお題には匂いや臭いを使わず香りを選んだというのもありそう。『におい』はもともと常用漢字があてられていなかったので、この認識ができたのも近年の話だけどね」
「ふーん」

「そういえば、雨のにおいがわかる人とわからない人がいるとかはあるけど、雨の香りは季節によって変わったりするね。南の海から来たものだと潮の香りがしたり、夏は草花の甘い香りがしたり」
「そういえば」

「そして雨は涙と例えられることも多いね」
「それでか」

「あー、今回のお題ね。メタな視点で見るとってやつだね。この辺りの雨と涙の類推はなかなか普遍的なものがありそうだね」
「ただの雨なのにね。雨の時期はうつうつするからかな?」

「鋭いね。それはありそうだね。類推が行われる環境的な要素」
「うーん、そろそろ外に出ない?雨も止んだみたいだし」


お題『雨の香り、涙の跡』

6/19/2025, 6:39:08 PM