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※BLです。苦手な方は飛ばしてください。













伝えられなかった言葉はたくさんある。
好きだとか、愛してるだとか。それ以外にも。
いつも思っているのに君を前にすると照れくさくてなかなか言えやしない。
そんな俺の代わりに、君は何度でも気持ちを伝えてくれる。その度に「知ってる」と俺は笑うだけ。
「俺も好きだよ」なんて言葉、たぶん一生言えないかもしれない。
我ながら情けないと思う。
心の声が形にできるのなら、きっと君への想いでいまごろ部屋中が埋まっているはずだ。
朝起きて、隣で眠る姿がかわいい。
おはようと少し恥ずかしそうに笑う姿がかわいい。
俺の用意したご飯を美味しそうに頬張る姿がかわいい。
朝も昼も夜も、毎分毎秒、かわいいと好きが溢れて止まらなくて、俺のものになってくれたことが嬉しくて。それなのに短い愛の言葉すら囁けない。
『先輩が言えない分、俺がいっぱい伝えますね!』
素直じゃない俺を咎めることもなく、君はいつも笑ってくれる。
「好きだよ。ずっと前から俺にはお前だけ」
寝顔に向かってこっそり囁いてみる。
「出逢ってくれて、俺を選んでくれてありがとう」
面と向かってはまだ言えないけれど、いつか必ず伝えるから。いまはこれで許して。
心地良さそうに眠る君をそっと胸に抱き寄せて、その温もりを感じながらゆっくり瞼を閉じた。

5/3/2023, 11:25:03 PM