そこから、私は見えますか?
いつも笑顔で、多趣味で、
会いに行くと、大きくなったなぁと
頭を撫でてくれていたね。
固くてしょっぱいお煎餅が好きで
でも、海苔で巻いてあるおせんべいは
「好きだろ?」って私にくれて。
あなたの作ってくれる
つきたてのお餅を乾燥させて作る
揚げ餅が大好きでした
釣りに行っては、
魚を捌くところを見せてくれてたけど
残念ながら私には
技術も知識も不足していて
未だにできません、ごめん。
私が今の仕事を目指して
大学に入る時は、
なんの根拠もないのに、
「大丈夫、お前ならできる」
って、力強く頷いてくれたね。
国家試験をパスして
就職先が決まった時は
「よくやった、本当によくやった」
って褒めてくれて。
ご近所さんに自慢してたのよって
後におばあちゃんから聞きました
同じような仕事をしてたこともあって
とても奥深くて、楽しい仕事だぞって
コロナ禍での現場配属になる
私の不安を吹き飛ばしてくれたね。
誰かがやらなきゃいけない仕事。
その「誰か 」になれたことが嬉しくて
あなたが喜んでくれたことが嬉しくて
私は気合を入れて、社会人になりました。
その頃だね、病気になって、
在宅では介護できなくなって
入院して。
コロナもあって、
私が会いに行けた時には
たくさんの機械に囲まれて
目も開かなくなっていたね。
今までに見たことのない
あなたの姿に、私はとても混乱しました。
弟が一緒じゃなかったら
泣き叫んでいたでしょう。
いつも笑顔で、でも怒ると怖くて
お正月は駅伝を見ながら
親族みんなでご飯を食べたね
テトリスが強くて、
親族総当たり戦の決勝は
いつも私とあなたでした。
お酒が大好きで
午前中にしこたま飲んで、
昼寝して第2ラウンドを
始めていたね。
だから、初盆の今、
私はまだ信じられないのです
あなたが暖かな笑顔で、
「また来てな」と言ってくれる気がして。
帰ってきてくれてるかな。
あなたの愛した人は
みんな、あなたのことが大好きでした。
私も大好きだよ、おじいちゃん
おじいちゃんみたいに
誇りを持って仕事ができるように
私も頑張るね
たまには夢に出てきて
笑顔を見せてください
それだけで、私は元気になれます
今は空で、好きなだけお酒飲んで
詩吟に勤しんでいるんじゃないかな
辛いことがないといいな
全部、チューブ外せたもんね
おじいちゃんに
大切にしてもらった記憶は
私を強くしてくれます。
私がそっちに行くのは
まだ少し時間が必要なはずなので
それまでにテトリスの腕、
上げておいてね。
「遠くの空へ」
8/16/2025, 2:05:15 PM