#透明な涙
君は、僕に涙を見せることが一度もなかった。
なぜかと、尋ねたら君は笑って答えた。
「時間は有限と言うように、お前と一緒に過ごせる
時間も、限られてるんだ。だから、泣く暇があるなら
笑って過ごしていたいんだよ」
僕はその言葉に涙した。
なんで僕が泣いてるんだって、君は慌ててたよね。
でもさ、泣かずにはいられないよ。
嬉しくて、切なくて、幸せな気持ちが溢れてしまう
から。
それでも、君の涙を見てみたかった。
強がらなくてもいいから、弱いところをさらけ出せる
関係でいたいから。
たとえ、その涙が悲しいものでなくてもいいんだ。
嬉し涙でも、幸せ涙でも、感動したからでも、
涙を見せるということは、相手に心を許していること
同じだから。
僕は君に心を許してほしかったのかな……。
そんな風にふと、考えることがよくあった。
こんなに早くに君の涙が見れる日が来るなんて、
思ってもいなかったけれど。
ごめんね、ごめん。
こんなことになってまで、君に涙を流してほしかった
わけじゃないよ。
ごめん、ごめん。
僕は、涙を流しながら僕の手を握る、君を隣に、
生死を彷徨う――。
こんな時に、こんなことを考えるのは
良くないのだろうけど――
あぁ、やっぱり、君の涙は透明で綺麗なんだね。
1/16/2025, 11:44:25 AM