私達は一週間も滞在せず廃墟を点々とした。
盗賊や獣に荒らされていたり、魔物の住み家になっていたり。落雷や嵐の爪痕が残っていたり。散々な状態もあった。長い戦争があったから人は一極集中したのだろう。
食料は保存食と狩り、採集、連れている家畜で賄う。
あまり十分とは言えないが、街にはいけないし物々交換もできない。いつもぎりぎりだ。
珍しく鳥を射ち落とせたので、今日の夕食は豪勢になった。
「痛みやすいところから食べましょうか」
内蔵を貴重な水で洗い、塩をまぶし、臭み取りのハーブと一緒に揉む。ちび竜がキィキィ肩で鳴く。乾燥した野菜を入れて、固いパンを炙る。
「あなたとならどこへでも」なんて。
簡単には言えない。生きていくのはとても大変だ。
「ご飯できました」
周囲を回ってきた少年に器を渡す。
思えばこの頃は、お腹はすいていたけど満ち足りていたな。
なんて思うのは…色々なことを忘れているからかな。
10/6/2023, 12:26:12 PM