ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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夢と現実

夢と現実? その違いが坊やにはわかると? ひっひっひ。わかるわけないわなあ。そもそも坊や、夢の中で夢と気づいたことがあるかね? 話はそこからだ。夢が夢であると認識できないとしたら、夢と現実を分けて考えることはできていないということだ。なので坊や、まず夢をみてごらん。そしてそれが夢だと気づけなかったら坊やはそこでおしまい、凡人のままだ。

バーチャルリアリティは要らんよ。人は好きなだけ夢を見る能力を持つ。ただし夢は夢と気づいたほうがいいの。夢と気づいたら目の前にある扉を優しくノックしな。まあ夢と気づいた時点で遊んでみるのもよい。

夢の中で夢と気づくとはその夢世界の神となることである。空も飛べる。海はいくらでももぐれる。金鉱山も掘り放題だ。各地の珍味も食い放題に食えるし、実は夢の中でもきちっと味はあるのだと坊やも経験するであろう。おお、それをいうたら男と女のことも夢の中で思う存分に味わえるぞ。

しかし坊や、夢に溺れるな。夢は楽しい。現実を忘れるほど楽しい。でも夢と現実をきちっと分けて考えな。そのとき坊やの前に扉が現れよう。その扉の先でこの婆は待っていよう。私が死んでても問題ない。夢を夢と気づいたとき、坊やの前に現れるもの、それこそが現実だ。さあ目を閉じて、今夜はおやすみ。

12/4/2024, 11:07:15 AM