ミントチョコ

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生憎の雨の日。

私は観光で行っていた県の有名なタワーに遊びに来ていた。

妹と一緒に来たものの、展望台に登るエレベーターを待ちながら、暗い顔で二人で顔を見合わせる。

「折角来たのにね」

「ね、今日わざわざ降らなくてもいいのに」

そうは言うものの、ここまで来たのだから、と上に上がってみる事にした。

展望台に到着すると、窓には水滴が付いていて、外の景色は見えにくい。

「ちょっとぼんやりしてるね」

私が妹に話しかけると、

「うん、そうだね・・・」

妹は、展望台のガラスの側に行って、窓の向こうに目をこらした。

「向こうは、晴れてたら綺麗な海が見えるんだって・・・あっ!」

いきなりの声に私は驚いて尋ねる。

「どうしたの?」

「お姉ちゃん、ちょっとちょっと」

手で私を招く妹の側に行くと・・・

「下、下」

ジェスチャーで下を覗くように言われた。

下を見ると、色とりどりの傘が沢山見えた。

丁度今、下は、飾りのイルミネーションが点灯していて、雨の雫が景色をぼんやりと歪めて、幻想的に見える。

「みんな下で順番待ってるんだね。傘が綺麗だね〜」

私がそう言うと、妹も隣で頷く。

「しかも、今しか見られない色の組み合わせだよね!」

「確かに!」

私達はしばらくその色とりどりの傘が動く姿を眺めていた。

なんだか、景色は、望み通りに見られなかったのに、妙な満足感を感じた私と妹だった。

1/8/2024, 10:35:29 AM