星を見つけたのは、
ひとりで歩いていた夜だった。
誰にも話しかけられず、
風の音だけが耳の奥でふるえていた。
それでも空を見上げた。
まるで自分をあざ笑うみたいに
あの光は、平然と輝いていた。
私は歩く。
眠らない夜道。
濡れたアスファルトに、
誰かの夢の残骸みたいな水たまり。
星に手を伸ばすなんて、笑っちゃう。
届かないと知っているからこそ、
私は星を追いかけるのだ。
誰にも見えない場所で。
誰にも聞こえない声で。
あの光を、ずっと目でなぞっていた。
ふと、星がこちらを振り返った気がして、
胸が痛くなる。
それはきっと、
届くはずのなかった気持ちが
すこしだけ動いた証だったのかもしれない。
星を追いかけて、
今日もまた、歩きつづける。
誰のためでもなく、
自分が信じた光のために。
7/21/2025, 11:17:17 AM