noname

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 虹がかかっていた。雨上がりの少しだけ遠い、電車で行ける町の空。
 吉兆だっけ、凶兆だっけ、宝があるのは足元だっけ。七色だったり八色だったり、五色だったり二色だったり。国によっても時代によっても、同じものでもバラバラなのに、必ず誰かが虹と呼ぶ。
 そういえば、誰が初めに名前をつけたの?

「ねぇ、誰なのかしらね。」

 トン、とお腹を蹴り返してくる、虹のたまご。私はあなたを、なんて呼ぶのかしら。

【虹のはじまりを探して】

7/28/2025, 12:05:57 PM