特別な夜
暖かいご飯、雨風しのげるお家、家族みんなで仲良く喋る時間。そんな日々が特別で大切
なんて言ってみたかった。もう何日も貰えてないご飯、いつも帰ることを禁止されてるお家、殴ってくるパパ。何も変わらないいつもの夜
今日はクリスマス?というイベントがあるらしく街の人達は皆にこにこしている。
いつもの場所でいつもの商品を売っている私にはあまり関係ない話だ。
でも、皆がご機嫌な今日なら商品を買って貰えるかもしれない。そう考えた私は声を張り上げ「マッチ入りませんか?」と問い掛ける
私が声をかけると皆笑顔を無くし「要らない」と断る様に早足で去っていく
今日も駄目みたいだ。
寒さと空腹に耐えきれず、今日も幻に逃げる。何度も何度も幸せな夢を見るけれど、何度も何度もその幸せは消え残酷な現実だけが残る
小さな星が流れる
現実に残されたのは痩せ細った少女の死体とマッチの燃えカスだけだった。
少女が死んでしまった特別な夜。
少女が死んでしまっただけのいつもの夜。
1/22/2024, 8:28:31 AM