エメラルドグリーンの海、ピンクの砂浜
風に揺れる羽のような大きな葉
夢見たことはあるけれど
きっと熱くて煩くて耐えられない
手を伸ばしても届かないと知ってしまった
砕け散った白い波が足元に刺さっている
白亜の宮殿、小鳥の囀りが響く朝
窓辺に訪うお客様とデュエットを
ケーキと紅茶で彩る休日
気付けばそんな夢も見なくなった
きっと寒くて煩わしくて敵わない
手を持ち上げることすら億劫なのだから
可憐なドレスは磔に、荒波に揉まれて砂となる
雪月花、咲き誇る刹那
電子の海でも薄い紙面でもない世界に飛び込んだなら
きっと震える全身を持て余す
心が洗われて、清々しい気持ちになるのだろう
汚い汗を流し終え、生まれ変わった心地になるのやも
けれど、ああ、結局のところ
手を差し伸べられる日が来ないと理解した時から
この目を通した世界は濁ったまま
同じ影が群がる様子、神も仏も信じずとも見える
似たり寄ったりの切り貼りされた群衆が
なぞられたままに蠢く様よ
熱くて、煩わしくて、息も出来ない
去って、帰って、二度と姿を見せないで
くどい説教は必要ないから
救済も断罪も、鼻が捻じ曲がりそうなほど嘘臭い
差し伸べられる手がないのは、私が拒み閉じ込めたから
絡まった無数の手は温い檻
誰も手をかけることのない錠前を内側から引き寄せる
滑稽なことさね、願望なんて
(遠くへ行きたい)
7/3/2025, 10:30:34 AM