未完成タイムラバーズ

Open App

私のリア充復讐劇in七夕



私は今まで七夕というイベント事に参加したことはない。
理由は至って単純でやっても無駄だからである。

やれお金が欲しい、やれ恋人が欲しいだの、
自分の欲望を願い先にぶつけるばかりで
努力をする気力も感じられない。

そもそも願い先を知っているかも定かではない。
願い先は織姫で、元々は習い事などが今よりも上達するように願う行事である。決して織姫に代行してもらい上達すると言った他力本願祭りでは無いのだ。

とまぁ、そんな不埒な奴らに天誅を下すべく、私は近くのショッピングモールに出向き、ロケット花火を買い込んだ。

使用用途は単純で、奴らが夜に笹の葉に短冊を吊るして精神的に楽になろうとしているところに撃ち込んで、自らの行いがいかに下劣で滑稽なことなのかを知らしめてやるためだ。

決行は20時に中川の土手。奴らの泣き叫ぶ姿が楽しみだ。

……と意気込んで20時に予定の場所へ到着。
予想通り他力本願のヤツらがウヨウヨと思い思いに願い事を短冊に書き込んでいる。
私は光の当たらない茂みに隠れ、双眼鏡で監視している。

…ややっ!あれは!

あれは私が片思いをしている春野さんではないか!
なぜあんなところに。
…んっ!?あの隣にいるのは……
龍ケ崎先輩ではないか。女遊びが激しいとの噂がある。
なぜ春野さんと一緒に……
んっ!?あっ、あぃつ、手を腰にまわ、まわして……
ゆゆゆるせんっ!そんな事は断じて許さない!

と一時の感情に大いに揺さぶられた私は、ロケット花火の導火線に火をつけ、発射を待つ。

……3,2,1,GO!

ロケット花火は見事土手に飛んでいき、突然の光に群衆は慌てふためいている。

やった!やったぞ!
神聖な行事を土足で踏み荒らす不埒なやつらめ!

そう喜んでいるのもつかの間、1発のロケット花火が空中で向きを変え、私の方に飛んでくるではないか。

着弾時に気づいたのでもう遅かった。
私の服は引火し、焦りと熱さでパニックになり、慌てて川へ走り飛び込んだ。

そういえば走っている時春野さんと目が合った気がする。
なんか呟いていたような……



「なにしているんですか。先輩。」

私…この世の恋愛、常識全てに疑問を抱きそれに反抗する大学生。反抗サークルという名のサークルに属している。
春野さん…私が気になっている歳が一つ下の後輩。
龍ケ崎先輩…イケイケ大学生。

7/7/2024, 10:53:30 AM