「手を繋いでいた宇宙人のことを思い出すなあ」
僕は思ったことを口に出す。
「うん?ああ、二人の大きな男の人と手を繋いでいるヤツ?」
「そうそれ!」
パパはすぐに分かってくれた。
さすがパパ。
でもママは分からなかったみたいだった。
「連れ去られる宇宙人だよ」
パパがそう言うと、ああアレねって言ったから知ってるみたいだ。
「でもあれ、合成写真だって。しかもドイツの雑誌のエイプリルフール記事」
パパが嫌な事をいう。
「もー夢壊さないでよ」
「次の週でネタバラシしたら、送られて来た抗議文みたいなこと言うんじゃない」
僕が文句を言うと、変なツッコミが返ってきた。
「それでなんで宇宙人を思い出したの?」
パパが聞いてくる。
「今、僕はあの宇宙人みたいだなって」
僕はパパとママの手を繋いでいる。
あの写真みたいに。
「それで、あの宇宙人の気持ち、ちょっとわかるなあって思って」
「宇宙人の気持ち?」
パパとママが不思議そうにこっちを見ていた。
「どんな気持ちだと思ったの?」
ママが聞いてくる。
「手が疲れるなあって」
そう言うと、パパとママは楽しそうに笑った。
「疲れちゃったか。じゃあ抱っこしちゃうぞ」
そう言ってパパは僕を抱っこした。
「これで宇宙人君は疲れないね」
パパは笑っている。
「ダメ」
僕はダメ出しする。
「何がダメなの?」
パパが不思議そうに聞いてくる。
「ママが一人ぼっち。ママ、手を繋いで」
12/10/2023, 9:49:36 AM