すっきりと晴れた空に、細く長い煙が上がっていく。
風に愛されていたお前のことだ、きっと身体という器が無くなって、空高く駆けて遊び回っているのだろう。
そんな事を思いながら、段々と冷え込み始めた空へ1つ白い息を吐いた。
「…こんなに小さくなっちまうんだな」
骨壷を抱え呟くと、皆様そう言われますと葬儀場の男が薄く笑みを浮かべて頷く。
もう既に親族も絶えてしまったこいつの為に、1つ墓を立てた。そこへ納める前に、そっと骨壷を開けて小さな欠片をこっそりと取り出す。
「少し預かっていてくれ」
厠へ行く、と言い残して涙の止まらぬ友人の1人へと骨壷を預ける。
ゆっくりと歩き、厠を通り越して誰もいない空のよく見える場所へと向かうと、握りしめていた手を開く。
「……俺もすぐそっちへ向かうっていうと、お前は怒るだろうからな」
小さく小さくなってしまった、その欠片へと笑いながら話しかける。
「せめて俺が逝くまで、一緒にいてくれや」
丸薬を飲むように、その欠片を口へ放り込む。
舌の上にあるざらりとした感触と一緒に、ごくりとそれを嚥下する。
これで、ずぅっと一緒だな
『永遠に』
11/1/2023, 10:39:20 AM