アクリル

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終わらない夏


どこかで見たことがありそうなものばかりだ

フォントが変われば目が覚める、勘違いだ。
白も黒も灰も、相変わらず滞留していた
本能が恐れていた、あの停滞の再演に怯えていた

見つけてほしい、ここにいるはずだから
輪郭を、意図を観測してほしい
視界の隅に、頭の片隅のさらに奥まった場所に
残ってみたい、贅沢だなんて一蹴しないで。

ひぐらしが鳴いたら、もう秋扱いだから
冬に閉されたら、来春に呼吸ができる保証など無いから

清書された心は、整えられた意思は
地に足を付けようとした脳は
添加物まみれのような価値観を踏み潰した。

体も手も離れていく
日の入りが遅れていく
影が長くなる頃、目を覚ます
カラスが帰るのを見た。

私はもう1週間限りだ。蝉と同じだ。
最後の博打だ、そこで笑ってて。
火花が咲いた後の火薬が香って
金木犀に変わるまで、まだ残留できるだろうか。

8/17/2025, 6:23:52 PM