【羅針盤】
時はルネサンス期。そして、大航海時代。
新大陸開拓に心惹かれた幾人もの海賊達が、揃って船を泳がせた。
そんな船が、ここにも一隻。
「起きろー!!朝日が昇るぞ!!!」
見張り役の一人がそう言うと、すぐに船員がバタバタと活動を始める。
朝日がゆっくりと昇る。
「キャプテン!今日はどの方角に進みましょうか!」
キャプテンと呼ばれた男はどこか少年みのある瞳を煌めかせながら、凛とした響く声で船員全員に告げる。
今日の未知を探る方角を。
「今日は東南だ!!お前達、気分上げていけ!!」
どこまでも続く果てしない海。深く、未知で、発見と自由を与えてくれる海。
その上で今日も、人々は未来を見る。
「「アイアイキャプテン!!」」
何人もの船員がそう返事をし、これから出会える全てのものへの期待に胸を膨らませながら進路を変えた。
キャプテンと呼ばれた男はそれを満足気に見てから、船長室に戻る。
物々しく置かれた羅針盤を見つめる。羅針盤は船長室のど真ん中に設置されていた。
それは、人類が叡智を求めるために作られた道標。
羅針盤から、窓の外に目を移す。
空と波の交錯する美しい世界を眩しげに見て、希望を笑う様に口角を上げた。
「…今日も俺は、進み続けるぞ」
1/22/2025, 7:59:10 AM