「将来の夢を書いてください」
これは、理想の自分を描く紙
至る所からシャーペンを動かす音がする
消しゴムを擦る音もする
なのに私の鉛筆はうんともすんとも言わない
消しゴムが入る余地もない
カチカチと、終わりの時間が近づいてくる
教壇に向かう足音が増えてくる
私はただ、題名しかない紙を見つめている
私は夕方になっても学校にいた
紙は私の頭の中を真似たまま、私を見つめる
書かないと、書かないと
何もないけど、書かないと
そのまま大事な何かを誤魔化して
リソウノジブンを描きあげた
6/10/2024, 11:56:58 AM