「きゃーー!!イチゴ様かっこいいー!」
「ウメちゃーーん!!今日も可愛いよー!」
黄色い声が、商店街中に響き渡る。
「なんだ、この声?」
「知らないのか?ほら、あの集団の真ん中に、目立った服のやつらが見えるだろう?あれが、イチゴ様とウメちゃんだよ。」
集団の方に目をやると、二人を中心に円となって住民達が集まっている。
様々な姿形をした住民に負けないオーラを放つ二人は、お互いを睨み合っていた。
「イチゴ様ー!お美しいです!!」
そう呼ばれた女性は、人間の立ち姿に蝶の様な羽と触覚が生えていた。
苺色の着物を上品に纏い、羽の模様はショートケーキのいちごの様に、存在感を放っている。
黄緑の複眼で、目の前の相手を見つめている。
「ウメちゃん!売れ残りのおにぎり食べるかい?」
その声に釣られて顔を上げた女性は、大きな口から涎を垂らす。
二足歩行しているクマの姿は、ピンク色のフリフリとした服で着飾られている。
熟す前の梅色をした体毛を震わせ、涎を拭いて着物の女性を睨み返す。
「おっ、二人ともべっぴんさんじゃねぇか。ところで、なんであんなにばちばちしてるんだ?」
「ん?そりゃあもちろん」
男の声が掻き消され、二人の女性が声を上げる。
「ぜっったい、あなたがくる予感しかしませんでしたわ。今日こそは、私の物ですわ!」
「いーや、ぜっっったいあたしの物だね!ここで会ったが千年目!」
二人の声が、同時に響く。
「「今日の焼きそばパンは、(わたくし)(あたし)の物だよ!!」」
お題『予感』×『二心』
10/22/2025, 10:24:22 AM