夜空に浮かぶ黒いお椀。
お椀に入れた星は、勢いよく溢れてこぼれていく。
こぼれた星たちは、滝となり、地上に降り注ぐ。
「‥で?続きは?」
さわがしい大衆酒場のカウンター。
灰色スーツの男が白シャツの男に聞いた。
白シャツの男は、ビールグラスをぐいっと飲みほし、長いため息をついた。
「‥続き?続きはない!さっき、オチがないことに気づいてさ、色々と考えたよ〜地上にいる人たちは口をあけて降ってくる星を食べてさ、食べ過ぎで病院に運ばれる〜とか、無限に落ちてくる星に埋めつくされて人類滅亡‥とか」
「なんだそれ」
「そうなんだよーなんだそれって自分でもなって、俺が書いたのって『起承転結』でいう『起』じゃない?!『起』だけ書いて満足してたんだよ!!あぁ、恥ずかしい」
白シャツの男は顔を両手で隠し、体をグネグネよじってもだえた。
「‥まぁ、頑張れよ」
灰色スーツの男は、ビール片手に慰めた。
‥そう、これも『起』しかない。
3/15/2026, 10:43:50 AM