手を取り合っての続き
些細なことでも
ハイネ ミーナ ナイトの三人は、
目的の建物に着く 空が暗く澱み
周りの雰囲気が沈んでいた。
暗く黒い影の靄が建物を囲んでいた。
「なんか嫌な雰囲気ね....」
「この黒い靄 絶対危ないよ!」
ミーナとナイトが警戒心を露わにする中
「そんな事どうでも良い!」
ハイネ達三人とタマは、玄関口の重い
扉を開けるとバンッと建物に通じる扉を
ハイネが蹴破る。
そこには、うじゃうじゃと黒い靄が束に
なって巨大化し三人に襲い掛かる。
ナイトが銃を構えミーナがレイピアで
黒い靄を薙ぎ払う
ナイトが銃の引き金を引きながら声を
上げる。
「この靄どんどん湧き出てきてきりがないよ!」
「穢れが凄く溜まって堆積してるんだわ!」
(くそっ くそっ!)ハイネはイライラ
していた。
早くシズクの所に向かいたいのに 中々
前に進まない。
(シズク....)ハイネは、最後に別れた
シズクの笑顔を思い出す。
あの時「じゃあまた」と言って去った
シズクは、もう会えない事を知っていたんだろうか....
あの時シズクは、どんな気持ちで自分に
笑顔を向けていたんだろう.....
(クソッ 分かりづれェんだよ馬鹿シズク)
普段は、泣き虫で弱虫のくせに
自分が本当に辛い時に限って笑ってやがるから些細な事でも本当に心からの笑顔で
笑うから....見逃してしまう....
気付かない....
何時だって守られてるのは、自分の方で....
(シズク....もっと我が儘言えよ!
辛い事があったら泣き叫んで罵倒しても
八つ当たりしても良いから....
一人で泣いたり無理して笑うなよ....
っ....好きだ....シズク....お前が好きだ
大好きだ.....)
『ハイネ少年この先に片割れの気配を
感じる きっともうすぐだ....』
タマがそうハイネに呼びかけるが
穢れの集合体に道を阻まれる。
ハイネは、鎌を思いっきり振って穢れを
一気に浄化するがそれでも間に合わない
(クソッどうすれば....)ハイネが
迷っているとナイトがバンバンッと銃弾を
連続で穢れに撃ち込む
ミーナもハイネの前に出てレイピアで黒い影に切り込む。
「ハイネ先に行って!」「たまには、僕たちも前衛で斬り込みたいし....」
二人の声掛けにハイネは、一瞬立ち止まり
「はぁ~何言ってんだテメェらだけじゃ..」
「あら いつも一番に飛び込んで穢れに
斬りかかって行く人のフォローは
誰がしてると思ってんの!」
「そうそう 見くびってもらっちゃ困るよね!」ナイトが笑いながらミーナが呆れながらハイネを促す。
「それよりシズクに何かあったらそれこそ
許さないからね!」ミーナが眉を吊り上げて
ハイネを指差す。
「此処は、友達としてハイネに花を持たせてあげるよ!」ナイトが肩を竦めて
ハイネに言う。
ハイネは、二人を見返して.....
「やられんじゃねェぞ!」と二人の肩をポンッと叩きタマを連れてハイネは先に進む
ハイネを見送ったミーナとナイトは....
「さあて 友達の恋路を邪魔する
悪い奴には....」
「たっぷりお仕置きしてあげなくちゃね!」
ミーナとナイトは、背中合わせになって
それぞれの方向に駆け出した。
そして先を進んだタマとハイネは.....
タマが気配を感じた扉を開ける。
するとそこには....
「やあ君か!来てもらって悪いけど
ちょっと遅かったね!」そこに居たのは
不敵な笑みを浮かべるルークと
ベッドに静かに寝かされるシズクの姿が
あった。
「シズク....」ハイネはその光景を目の当たりにして心臓がどくんと脈打ち
背中に冷たい汗が流れ込む
ハイネは覚束ない足取りでシズクに近づく
そしてシズクの体を持ち上げシズクの首元に指を添える。
ハイネはその感触に愕然とする。
「シ....ズク」シズクの脈が感じられない....
ハイネの瞳から自然と涙が溢れていた。
『ハイネ少年しっかりするんだ!
ハイネ少年』タマは、ハイネに呼びかけるがハイネに反応は無い。
「さあもうすぐ姉さんに会える」ルークが
鳥籠を取り出してその中に入っている物に
手を伸ばす。
そのルークの行動を目撃したタマの魂の
姿は黒く変色していた。
そうして今まで消失していたタマの記憶が
蘇る。
「ルーク君!」ルークは、黒く穢れた
タマを振り返る。
「あれ?もしかして君義兄さんかい?
あの時消滅させたと思ったんだけどなあ
残念だよあの時邪魔しなければ義兄さんも
僕の計画に組み込んであげたのに....」
「これ以上ティアを冒涜しシズクを傷つけるなら いくら君でも僕は、許さない!」
タマの魂の質量が上がる。
透き通っていた魂の色は、黒く澱み
ルークに牙を剥く。
タマ 本名イクスファーラムは
愛する妻と娘を守る為 義弟に暗い
憎しみの炎を向ける。
9/4/2024, 6:02:54 AM