「紅茶の香り?……そういやするな、そんなもん」
「ウッソでしょ!!?」
信じられないものを見る顔で、久方ぶりに会った友人はのけ反った。
「じゃあ、あんたは何の為に紅茶を飲んでいるのよ!?」
「……眠気覚ましの為、カフェイン摂取」
目の前の友人はイギリス人じゃないのかと、毎回思う程に紅茶に拘っている。
ちなみに、目前の人物は純粋な日本人の日本育ちである。
コーヒーはブラックだと苦くて飲めない。
ではカフェイン作用のある紅茶と緑茶、簡単に淹れられるティーバッグだと紅茶の方が安く一度で大量に手に入りやすいから、紅茶を愛飲している。
---ということを説明すると、深い溜め息をつかれた。
「……あんたはまず、わたしが淹れてあげた紅茶の香りを嗅いで、味を堪能して一服なさい」
飲み終えたら、紅茶屋に茶葉を買いに行くわよだの、仕事の量を減らしなさいなど、友人の懐かしい世話焼きが発揮された。
アレやコレやと世話焼き砲を聞き流しながら、友人作の紅茶に映るわたしの顔は笑っていた
10/28/2024, 9:40:40 AM