葛藤は確かにあった。
だが迷い続けた末の「決断」を下してしまった瞬間には、いっそ奇妙な開放感すら生まれていた。
秤にかかるのは、己が護りたい“あの人”。
追い詰められていた自覚は、多分ある。
そうと分かっていても、これから先の選択を他のヤツに譲れるわけが無いのだ。
これまで自分たちの旅は、障害となった壁を容赦なく排除してきた。
道を違えた者と対話を失って、悲痛をこらえる手に武器を取り、正しき刃を向けて来る。
馬鹿な奴だと笑えよ?
こちらも負ける気は無いが、まさかこんな歪なカタチで再度手合わせするとは流石に思わなかったんだ。
だからこそ……本気で勝ちを奪いに行く。
──例え、この身が最期の刻を迎えようとも。
【大切なもの】
4/2/2024, 12:00:26 PM