抹茶餅

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「はぁ〜好きぃ〜〜……」
「また、隣のクラスの子か?懲りねぇなお前も」
呆れる俺にまたじゃないもんとこいつは不貞腐れたように言った。3ヶ月前、こいつは好きな人が出来た。隣のクラスにいる女だ。パッと見地味で根暗そうだがこいつにはそれが良いらしい。
隣のクラスの子を好きになってからこいつはどこかちょっとおかしい。女好きだったこいつは女遊びをやめ、サボり常習犯だったのが真面目に授業を受け出す。
「でもな。何も無い空に向かって好きぃ〜〜なんて言ってもよ。友人としてかなり引くわ」
「え〜?だってさぁ〜ふふふ……あの空、まるであの子の瞳みたいで澄んでて綺麗なんだよ!」
それを心から思っていても言うな。
ニヤニヤくふふと笑うこいつに俺は鳥肌を立てながらも教室の窓から空を覗いた。空は雲ひとつ無い青空。風流だとか美だとかを大事にしているやつはこれを「綺麗」だと、「美しい」だというのだろうが、俺にはいつも通りの普通の空にしか見えない。
「はぁ〜〜〜〜〜……早く放課後になってさ。」
「……おう。」
「あの子に会って、告白して、そしてデートして……結婚もしたいな……」
「……それを心から思っていても言うな。」
俺は先程口にしていなかったことを遂に言った。
それに。
「まだお前、あの子と1度も話せてないって自分で言ってただろ。」
気が早いんだよ。コイツ。

7/16/2023, 2:39:22 PM